男声合唱プロジェクトYARO会が朝日新聞2006年05月09日に掲載されました。

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響け 男たちの大合唱

 

 

◇初の全国大会へ 練習に熱

 埼玉県内で活動する五つの男声合唱団が集まった「男声合唱プロジェクトYARO(ヤロー)会」が、結成から3年半がたち、今年は初の全国大会出場を目指している。100人ほどの大所帯のため練習の日程調整や場所の確保が大変だが、男声特有の重厚なハーモニーに魅せられたメンバーたちは大舞台に立つ姿を思い浮かべ、張り切っている。


YARO会に所属する男声合唱団で指導する須田さん(中央)。週に1度、3時間の合唱練習に励む=上尾市内で


     

◇県内5団体で結成「YARO会」

 結成は02年12月。その4カ月前、新潟県小出町(現魚沼市)で開催された関東おとうさんコーラス大会(全日本合唱連盟関東支部、朝日新聞社など主催)がきっかけとなった。

 大会が終わった後、県内の参加団体による懇親会の席で、県合唱連盟理事で会社員の加藤良一さん(56)は、合唱仲間と一緒に呼びかけた。「みんなで一つの大きな合唱団をつくりませんか」。この誘いに栗橋町と上尾、川越、春日部、志木の4市の合唱団が応じた。

 合唱団の名前には「野郎どもで集まって大合唱をやろう」という意味を込めた。メンバーの平均年齢は約50歳。半数はそれぞれの所属団体で合唱を始めて日が浅い。

 指導に当たる上尾市の会社員、須田信男さん(51)も学生時代に男声合唱団の指揮をしていた経験はあるが、就職と同時に合唱から遠ざかっていた。仕事が安定し、子育ても一段落した頃「もう一度やってみようか」と、20年ぶりに地元の合唱団でタクトを振るようになった。

 練習では「言葉をはっきりと」「耳を向けて、周りを聴いて」と声を上げる。終わった後は仲間とビールで疲れを癒やす。「実はこれが楽しみでみんな頑張っているんです」

 練習に全員が集まれるのは、コンサートの前の数カ月間、月に2回程度だけだ。スケジュールが合わなかったり、場所がとれなかったり大変だが、宮代町の公務員、関根盛純さん(40)がメンバーと連絡を取り、練習場所の確保に奔走する。

 6年前に初めて聴いた男声合唱に魅せられ、自らも歌うようになった。「年齢も仕事も様々な人たちをまとめるのは骨が折れます。でもやりがいがありますよ」

 結成以来、コンサートを2回開いてきたYARO会。「フィナーレは鳥肌が立ち、自分の声がほかのメンバーととけ合うのを感じる」と3人は言う。「昨年のコンサートの出来が良かったから、今度は全国ステージに乗り出したい」と意気込む。

 7月末に栃木県小山市で開かれる全国おとうさんコーラス大会が目標だ。全国大会といっても、団体数は30ほどで、エントリーすれば参加出来るが、昨年までは準備が間に合わなかった。加藤さんは「これからは本格的なレベルアップを目指します」と話している。

 昨年末の第2回コンサートを収録したCDとDVDも販売中。各2枚組2500円(送料込み)。申し込みは加藤さん(0480-52-6440)へ。

 

コンサートを収録したCDとDVDを手にする加藤さん(左)、関根さん(右)、須田さん